股関節痛のケア

股関節痛の原因は?

股関節は体の奥深くに位置している臼状関節で、歩行の中心的役割を担う重要な関節です。

股関節に痛みや違和感を感じると歩行に悪影響を及ぼし、筋肉や骨格が偏る大きな原因ともなります。

股間節痛の原因として考えられるのは、

・先天的な骨の形成不全(寛骨臼蓋不全など)

・幼児期のオムツの当て方による股関節の転位

・大腿骨頸部骨折や骨頭壊死

・周囲の筋(腸腰筋や梨状筋等)の異常な緊張

・糖分やアルコールの摂り過ぎによる骨の変質

・過度の運動によるダメージ など…

があります。

とりわけ骨の形成不全が関係している場合、長年放置しておくと軟骨が擦り減り、 「変形性股関節症」 へと進行して歩行困難になる恐れもあります。

(軟骨が1mm擦り減るのに、およそ10年と言われています。)

股関節がよく痛くなる方、また家族に股関節の手術をした人がいる方は、早めに整形外科で検査を受けておくと良いでしょう。

 

股関節痛のケア

関節破壊を伴う股関節痛の場合、単なる肩こりや腰痛と異なり扱える整体院は限られています。

さらに、ただ通うだけ、あるいは先生任せでは絶対に改善しません。

「できれば手術は避けたい」という方は、これ以上悪化させないという強い意思のもと、自己管理と毎日の地道な努力が欠かせないことを覚えておきましょう。

 

痛みの記録をつける

ある股関節の専門医は、「痛みの自己管理表」をつけるよう患者さんに勧めています。

痛みの強さを10段階評価で記録し、同時にその日行なった活動内容も記録します。

そうすることで、何をどれくらい行なうと痛みがどう変化するのかを把握し、痛みを管理することができるのです。

その情報に基づいて痛みが少ない生活(股関節に負担が少ない生活)を続けてゆけば、股関節痛は改善してゆきます。

 

減量

人が活動しているとき、股関節には常時圧力がかかります。

通常の歩行時では体重の3倍の力が加わりますし、イスに座っていても上体の重さが股関節に加わります。

標準体重{(身長cm-100)×0.9kg}以上の方に、減量は必要不可欠です。

しかし、無理な減量は骨に悪影響を及ぼしますので注意しましょう。

 

日常のひと工夫

股関節に加わる圧を減らすため、工夫してみましょう。

床から立ち上がるとき、股関節には体重の10倍の力が加わります。

ですから、座布団よりも椅子での生活の方が有利です。

また、階段の昇り降りには体重の7倍ほどの力がかかります。

昇る時に股関節の負担が大きいのは上段に上げた足で、降りるとき負担が大きいのは、上段に残す足です。

普段から、股関節を痛めた側に体重を乗せないよう意識することが大切です。

 

食生活の改善

骨を強化するために、意識的にカルシウムを摂取しましょう。

軟骨の再生にコラーゲンが役立つとする研究者もいます。

カルシウムを蓄積して骨を丈夫にするには1000mg/日が必要ですが、ほとんどの日本人は600mg/日に満たないようです。

小魚を丸ごと食べることが減ったことや、外食またインスタント食品の普及が栄養素を摂りにくくしています。

最近ではサプリメントを常用する人も増えましたが、できるなら毎日の食事で栄養を摂るよう心がけたいですね。

また、減量とも関わりますが、砂糖の摂り過ぎにも注意が必要です。

例えばカフェで注文するドリンクの中には、角砂糖10個分以上の糖が含まれているものもあります。

お酒やタバコはどうでしょうか。

アルコールの摂り過ぎは、股関節痛(大腿骨頭壊死)の要因と考えられています。

お酒が強い人は特に節度を保ちましょう。

また、手術後の合併症が起きる確率は喫煙者の方が高くなります。

できるなら、今から禁煙にチャレンジしましょう。

 

足を縛って就寝

眠るときに両足を固定してお休みになると、多くの場合痛みが和らぎます。

無意識下での股関節の転位を予防するのが目的で、軽い股関節痛ならこれだけで改善される方もいます。

方法はとてもシンプルです。

両膝上と両膝下か足首の最低二箇所をサポーターで固定するだけ。

初めは寝付きにくいかもしれませんが、ほとんどの方は数日で慣れてしまいます。

この方法は冷え性にも効果大です。

夜中にトイレへ行くため起きている方も、冷えが改善されれば朝までゆっくりお休みになれます。

また生理痛は“冷え”との関連が指摘されていますから、お悩みの方は早速試してみてください。

 

股関節の運動

激しい運動、例えばマラソンや登山、サッカーなどは避けてください。

しかし、反対に運動不足で筋力が低下するのも良くありません。

股関節周囲の筋肉を鍛えるなら、関節にかかる負担を軽減できます。

股関節の障害に対し、病院では保存療法として水中歩行等を勧めていますが、改善には、数ヶ月から数年単位の根気強い努力が必要です。

 

Ⅰ.イスを使った股関節の伸展

①膝立ちの姿勢でイスに手(または肘)を着き、上体を預ける。

②右脚をイスの横に出す(かかとは浮かない)。

③徐々に左脚を後ろに伸ばす(甲を床に着けて)。

④伸ばしきったら、30秒前後維持する。

⑤左脚をゆっくり引き寄せる。

⑥この動作を反対側でも行なう。

 

Ⅱ.四つん這いで行なう股関節の運動

①四つん這いの姿勢をとり、顔を前に向ける。

②息を吐きながら右脚を床と平行になるよう後ろへ伸ばす。

③息を吸いながら右脚をゆっくり戻す。

④これを10回繰り返し、反対側も行なう。

※あくまで一般的な方法ですので、痛みや違和感があるときはすぐに中止しましょう。

 

外科手術について

自分で努力しても痛みが生活に影響し始めたら、手術を視野に入れてください。

それでも多くの医師はできるだけ手術を遅らせることを提案します。

技術の進歩により、人工関節は25年ほど使えるようになっていますが、40代で手術をすると高齢になって2回目の手術が必要となるためです。

ですから若いうちに自分の体を知っておき、早めに股関節をいたわる生活習慣を身に着けることが最善と言えるでしょう。