坐骨神経痛とは

でん部から太ももの後面、下腿(膝から下)外側面、足先にかけての痛み・重だるい感じ・圧迫感などが特徴で、安静にしていても痛むものから長時間の歩行などにより痛みが生じるものもあります。
また、坐骨神経に沿って でん部から太もも後面を押さえると痛み、膝を伸ばしたまま脚を持ち上げると痛みが増します。
さらに、神経への刺激や痛みを避けるため楽な方向へ体が曲がる(坐骨神経痛性側湾)ことも特徴です。
坐骨神経痛の原因として考えられるのは、
・椎間板ヘルニア
・馬尾神経腫瘍
・脊柱間狭窄症
・脊椎分離症やすべり症
・加齢に伴う変形性脊椎症
などがあります。
ここでは、最も多い椎間板ヘルニア系の坐骨神経痛について取り上げます。
※ご注意ください!
原因を正確に把握するためには、レントゲンやMRIによる画像診断が不可欠です。
腰の痛みに加え脚のしびれを感じるような場合は、まず専門医の診察をおすすめします。
重度の坐骨神経痛は排尿障害や尿毒症を引き起こし、命に関わることもあります。

坐骨神経痛(椎間板ヘルニア系)のケア

楽な姿勢を維持する

椎間板ヘルニアは骨と骨の間にある椎間板が後方に突出または脱出し、靭帯や神経を圧迫して痛みを生じさせます。
ですから重症の場合を除き神経への刺激が和らぐ姿勢、つまり痛みやしびれが楽になる姿勢があり、それを探すことが最初の段階です。
注:以下は左でん部・左ももの裏 が痛む場合をモデルとしています。
右でん部・右ももの裏が痛む場合は逆の動作をしてください。
また、ヘルニア以外の原因(すべり症など)では効果を期待できません。
左側の痛みは右股関節の開きが過大で右足の長い人に多く発生しますが、以下の方法で改善が望めます。
まず痛む側を上にして横になり、左脚を曲げ、頭・左脚・右脚の三箇所を座布団などで高くします(図1-1の姿勢)。

この姿勢を横から見ると図1-2のようになります。
体が図のような曲線を描くようにしてください。この姿勢を15分ほど維持します。

痛みが和らぎ動けるようになったら、次に臀部・股関節・大腿部をストレッチします。丸イスなどに手をついて、図2の姿勢をとります。

左膝を立てて前へ、右膝をついて右足を後ろへ伸ばし、左足のかかと、右足の甲はしっかりと床につきます。
背中を起こすのがつらい場合は、肘をついて背中を丸めてください。
回数を重ねて慣れてきたら徐々に腰を落とし、右足をさらに後ろへ移動させていきます。
10分間、この姿勢を維持します。
根気強く、毎日実施してください。
当院の場合、この方法で楽になる症状は、比較的短期間(3~5回の施術)で痛みの消失に成功しています。

日常動作と姿勢

ヘルニアは前後どちらにも生じますが、力学的に弱い後面に多く、それゆえに腰椎が後湾している人に多く発生します。
腰椎後湾は椎間板前面の負荷を増大させ、その負荷が限界を超えた時に内部の組織(髄核)が逃げ道である後面へと脱出してしまいます。
ですから常に腰椎を適度に前湾させるよう意識し、特に座るときは椎間板の負荷が増すため、背中にクッションを当てたりして背骨が丸まらないように注意します。
膝を伸ばして立ったまま床のものを拾う・持ち上げる動作は厳禁です。
また左側が痛む人は、右股関節をよく開き左側に体重をのせる習慣がありますから、立っている時・イスに座って足を組む時・横向きで寝る時など、しばらくは右足を開かないよう意識してください。

筋力トレーニング

腰部の筋肉を鍛えることで、椎間板にかかる負担を軽減させます。
ハードなトレーニングは逆効果ですから、まずは水中歩行から始めてみましょう。
水中歩行を馬鹿にしてはいけません。
あるリハビリセンターでは、患者さんが厳しい指導に泣きながら一生懸命取り組んでいるそうです。
手術や薬以外で痛みをとるには、それなりの努力が必要なのです。
また水の中をただ歩くのではなく、左足大股・右足小股が重要なポイントです(左側が痛む場合)。